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ハリー・ポッターと秘密の部屋 <J・K・ローリング(著) 松岡佑子(訳)>




総合評価     ★★★★☆

ストーリー    ★★★★☆
表現/世界観    ★★★☆☆
キャラ       ★★☆☆☆

映画化 ○
ハッピーエンド ○



内容(amazonより抜粋)

魔法学校で一年間を過ごし、夏休みでダーズリー家に戻ったハリーは意地悪なおじ、おばに監禁されて餓死寸前。やっと、親友のロンに助け出される。しかし、新学期が始まった途端、また事件に巻き込まれる。ホグワーツ校を襲う姿なき声。次々と犠牲者が出る。そしてハリーに疑いがかかる。果たしてハリーはスリザリン寮に入るべきだったのだろうか。ヴォルデモートとの対決がその答えを出してくれる。




感想

 正直、前作のようなわくわく感はなかった。
 前作で目新しいものを出し切ってしまったように感じられた。

 多分、ハリーポッターシリーズの、この後の話をいくら読んでも、ファースト刊(賢者の石)の評価を越えることはないだろう。
 終盤に至るまでが本当につまらなかった。

 学校生活という単調な日常が舞台なのだから当たり前のことだが、前作で描かれていた昨年と特別に変わった箇所がない。
 またこの話? またハリーの愚痴? ハァ、またロンのドジ? といった感じ。

 そして出てくる新キャラの二人がイライラすることこの上ない。
 ドビーと、あと誰だったっけ。名前すら忘れてしまった。
 そう、ギルデロイ・ロックハートとかいう男なんだか女なんだかよくわからない教師だ。

 まずドビーが要領を得なくてイライラする。はっきり言えと!!
 嫌がらせとして送り込まれた刺客に、どうしてハリーが貢献してやらなければならないの? そのあらすじにも納得がいかない。序盤の伏線を終盤で見事に回収しているとは思う。だが、回収する必要すら、伏線を登場させる意味すら、私にはわからない。

 次にギルデロイ。なんなんだろうあのキャラクター。思い出すだけでイライラする。芸人のフルーツポンチを見ているときと同じぐらい腹が立つ。理由は思いつかないけど、しゃくに障るのだ。それに最初は女だと思っていたのに、ハンサムという設定らしいということに気がついたとき、もう頭の中のイメージをすり替えることは出来なかった。私のイメージするギルデロイは、どぎついピンクの服を着たチビで出っ歯の小憎たらしい娘だった。

 ドビーとギルデロイが登場しなければ、評価は★5つをつけていたかも知れない。
 あの二人のせいで、つまらないものが更につまらなくなっていた。

 と、読者としてめちゃめちゃ勝手な批判をしたが、やはり売れているだけある。
 物語の終わらせ方が本当にうまい。グリフィンドールとスリザリンの狭間で揺れるハリーと、その決着のつけ方。わくわくさせるポイントを外さないし、こうであって欲しいという読者の期待に全力で応えてくれる傑作ファンタジー。

 その終盤にいくまでは、「あーあ、読んでしまって時間を無駄にした。やはり児童書か」と思っていて、「こりゃブログ評価は★2がいいところだ」とハリーポッター自体に興味をなくしていた。
 だが、転結の面白さで一気に★がもう二つプラスされた。

 どこかのレビューで、次作の「アズカバンの囚人」は面白いと書いてあったので、次は全体的に楽しめる作品になっていることを期待しよう。


<< 前作 「ハリーポッターと賢者の石 感想」 <<




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しゃばけ <畠中恵>




総合評価     ★★★☆☆

ストーリー    ★☆☆☆☆
表現/世界観    ★★★★☆
キャラ       ★★★☆☆

映画化 × ラジオで音声化、テレビで映像化されている
ハッピーエンド ○



内容(amazonより抜粋)

江戸有数の薬種問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く外出もままならない。ところが目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。以来、猟奇的殺人事件が続き、一太郎は家族同様の妖怪と解決に乗り出すことに。若だんなの周囲は、なぜか犬神、白沢、鳴家など妖怪だらけなのだ。その矢先、犯人の刃が一太郎を襲う…。愉快で不思議な大江戸人情推理帖。日本ファンタジーノベル大賞優秀賞。




感想

 物珍しく感じた。江戸を舞台にした物語は今までほとんど読んだことがない。歴史物は難しくてほとんど手に取らなかった。
 昔、武田信玄の小説を読んだことがあるが、面白いのは可愛い女の子が出てくる場面くらいなものだった。戦争、戦略、知恵、だましあいすかしあいなどに興味がない私である。

 そういった本に比べて、この「しゃばけ」はいくぶんも読みやすい。
 素晴らしいと思うのが、表現力。江戸の世界観を損なわない巧みな文章。読んでいてほっとする。
 比喩ですら、その世界にあるもののみを使う。当たり前なのだけど、それを当たり前に使うのはきっと難しいはず。目新しい言葉を見つける度に、感心してしまう。

 ただ…、思春期からライトノベルに慣れ親しんできた私には、この本の「転」や「結」が、物足りなかった。
 妖という架空の生き物が出てくる以上、かっこういい能力の一つでも持っていて欲しいと期待していたのだが、主人公に仕えている妖二人がなんとも、情けなくて。存在感がほとんど無いように感じた。キまっているシーンがないのだ。「人と違う生き物」とわざわざ強調しているのにもかかわらず、人との差を感じられる場面がないのだ。家に住んでいる、「屏風のぞき」や「鳴家」より格上らしいということは端々でわかるが、ただそれだけ。

 主人公も身体が弱いため、なんとも、至る所でかっこうわるい。千両役者になれそうなほどの色男という設定らしいが、どう頑張ってもそういった印象を持てない。私としては、強ければ、見た目が優男であろうとも、格好いいに結びつくと思うわけですけれど。例えば、「サムライチャンプルーのジン」のような。(小説ブログなのにアニメを引き合いに出して申し訳ない)

 なので、キャラクターの魅力が残念であるとともに、自然であるという感想を持った。
 妖という人間とは別種の生き物がいる世界ということ。それらは人と共存しており、世の中に来す影響は多くはないということ。

 江戸で妖と一緒に暮らす若旦那が殺人事件を推理する。という、あらすじを読めば、「わくわくさせてくれそう!」な本なのに、まったくわくわくしないという不思議な小説でした。

 そして物語のかなめとなる、「転」の部分。
 事件が起こった理由が明らかになるところと、犯人が求めているものの正体も、意外性がなく、正直に言って、つまらなかった。
 私は物語を読むときに、先を予想して読むことをしない。物語を楽しむにはもってこいの性格をしているのだが、それでもこの胸が躍ることはなかった。きっと多くの人にとっても、「そういうことか!」という推理小説を読む際のよろこびを感じることはないと思う。

 主人公の若旦那。そしてその幼なじみの栄吉。家柄に縛られる二人の若者の憂鬱。上手く事が運んでいかないはがゆさ。そういったところの対比を読者がどう捉えるかだとか。若旦那が一連の事件を通して、自分の出生の秘密を知り、その影響を考え行動に出る心の動きだとか。成長だとか。そんなところに目を向けて、うんうんと考察する楽しみ方が多分、この話には練り込まれていると思う。

 ただ。個人的な見解として、家柄に縛られているだとか、家業を継がなければならないとか、そういう状況を想像できないために、そっち方面の楽しみ方が出来なかった。自分の子供に甘すぎる親というのも、自分の能力が追いつかないから家業を継げそうにない情けなさというのも。まったく想像が出来ない。

 もしかしたら、もっと年を取ってから読めば、違った見方が出来るのかも知れないと静かに思う。今はそれ以上の感想が出てこない。

 と、感想だけみれば評価がどん底に低いように感じさせてしまうであろうが、★は三つつけた。際だった面白さはないけど、安心は出来る。度肝を抜かれる展開はないけど、感心は出来る。そんな魅力があるからだ。読み終わりに、モヤついた気持ちが残ることもない。そういった感じ。

 ふう。
 無難な物語を読んだせいか、「撲殺天使ドクロちゃん」という奇天烈なライトノベルが無性に読みたくなった。





月の影 影の海(上) 十二国記 <小野不由美>




総合評価     ★★★★★

ストーリー    ★★★★★
表現/世界観    ★★★★★
キャラ       ★★☆☆☆

映画化 × アニメ化されている
ハッピーエンド ○



内容(amazonより抜粋)

「あなたは私の主、お迎えにまいりました」学校に、ケイキと名のる男が突然、現われて、陽子を連れ去った。海に映る月の光をくぐりぬけ、辿りついたところは、地図にない国。そして、ここで陽子を待ちうけていたのは、のどかな風景とは裏腹に、闇から躍りでる異形の獣たちとの戦いだった。「なぜ、あたしをここへ連れてきたの?」陽子を異界へ喚んだのは誰なのか?帰るあてもない陽子の孤独な旅が、いま始まる。




感想

 下巻まで一気に読み終えてしまって、ただいまものすごく興奮状態にある。
 とにかく面白くて、目が離せなかった。ただ、とてつもなく面白くなるのは下巻から。
 下巻は最初のページを開いてから、右手にもっているページの束と左手に持っているページの束が同じになるくらい(つまり中盤)まで、読む勢いを失わなかった。我に返ったとき、いつの間にかそこまで進んでいた。

 上巻に限っては、そこまでではない。
 なにせファンタジーなので、異世界に入ってからは、主人公同様、読み手のこちらも手探りだ。ゲームなどと同様、「ハマる」のには時間がかかる。

 この作品はが、刊行されたのは1992年とのこと(!)
 ――――――なんと20年も前!!

 読み終わってからそれを知って、納得する部分がある。
 序盤は、主人公の陽子が現世界で暮らしているところからはじまり、わけもわからず異世界に飛ばされる過程が語られている。その、現世界の暮らしは、私たちが想像できる範囲の一般家庭の様子なのだが、しょうしょう、男尊女卑や、古くさいいじめの表現などがある。
 2012年の今に読むと、すこし違和感がある。

 とはいえ、20年経とうが高校生の暮らしぶりに大差ない。安全圏であんのんと生活していた子供が、異世界に飛ばされて命からがらサバイバルすることになる展開で、その環境の落差に、ひきこまれる。

 日本での暮らしで、優等生の地位を守ってきて、目立つ行動はしてこなかった陽子。周りの人間に合わせ、善良につとめてきた。きっと多くの人が陽子と同じように暮らしているのだと思う。それに、疑問をもっていても、そうするしかない。日本で生きていくためには、それが当然なのだから。
 人と生きていくためには、裏切りや殺人や、仲違いにつながることは禁止されている。法律でも禁止されているし、人と違った行動を起こせば、迫害される。
 そういうルールが染みついてきた高校生が、そのルールがまったく効かない異世界に放り出される。
 生きていくためにどうするべきか、人に裏切られるごとに学び、ルールから解き放たれていき、まるで野生にかえるかのように変貌していく陽子が、すごく気持ちいい。

 序盤の頼りない陽子から、終盤の研ぎ澄まされた陽子に、だんだんと変わっていくその様子が、一冊の本で描かれている。これが、「十二国記 月の影 影の海」の上巻である。



 「月の影 影の海 十二国記 下巻」に続く。






ハリー・ポッターと賢者の石 <J・K・ローリング(著) 松岡佑子(訳)>




総合評価     ★★★★★

ストーリー    ★★★☆☆
表現/世界観    ★★★★★
キャラ       ★★★☆☆

映画化 ○
ハッピーエンド ○



内容(amazonより抜粋)

緑の眼に黒い髪、そして額に稲妻型の傷を持つ、魔法学校1年生のハリー・ポッターが、邪悪な力との運命の対決に打ち勝って行く、夢と冒険、友情の物語。スマーティーズ賞ほか受賞作。99年刊の携帯版。




感想

 素 晴 ら し い。
 私はファンタジーが好きだ。特に、ティム・バートン監督の映画がどストライクである。胸がわくわくするような雰囲気に魅了される。それらの共通点をあげるのは骨が折れるので、ここでは触れない。

 けれど、昔はそういうものが大嫌いだった。なぜならば、子供だましにキャーキャー喜んでいられるような、健康な人間じゃなかったから。とにかく、陰鬱な表現を好み、人とは違うものを選び、下手すれば心配されてしまうぐらいグロテスクな物語やモチーフばかり追った。そうする必要があったから。

 中学生の時に、友達からハリー・ポッターを借りたとき、冒頭の何ページかを読んでから心の中でつばを吐いた。魅力的な単語が一切載っていなかったからだ。このときの私が好んだ物語は、「バトル・ロワイアル」や「ダブル・ブリッド」や「キノの旅」や「黒乙一」などなど…。とにかく残酷なものにしか興味が無かった。そういう精神状態だった。

 人はそのときの精神状態によって、絶対に受け付けない物語が存在する。

 ファンタジーとホラーは対極の位置に存在すると思う。

 私は、ファンタジーを受け付けない状態から、ファンタジーも楽しめる状態に変わった。なので、思わず目を背けてしまうようなホラーも、胸わき踊るようなファンタジーも大好きなのである。

 そんな性質の私は、ティム・バートンが大好きで当然なのである。あれはホラー+ファンタジー。二つが組み合わさった、まさしく私のためにあるようなジャンルだからだ。

 という話はおいておいて――。

 ハリー・ポッターに、私の好む「ホラー」な要素はまったくない。映画を見たことがある人も多いと思うのでいうまでもないのだが―。
 著者がイギリス人ということもあって、物語はイギリスの一般家庭から始まる。想像にたやすい親馬鹿な両親。そのもとで甘やかされて育った、ふとっちょの子供。その家に引き取られた主人公は、おばさんとおじさんと従兄弟のもとで肩身の狭い思いをしながら生活する。当然、やせっぽっち。そう、かわいがられるのは実の子ばかりで、当然のようにいじめられる―。
 十一歳になったとき、見知らぬお迎えが来て、告げられる。
「おまえさんは、魔法使いだ。しかも、そんじょそこらの魔法使いよりもよっぽどすごい魔法使いさ」と。
 生まれたときから決まっていた魔法学校に入学することになり、今まで見たこともないような世界へ足を踏み入れる。そこから、今までの暮らしが嘘だったかのような、色鮮やかな生活へ一転するのだ。
 みじめな生活から抜け出せるハリーの期待感、もしかしたら夢だったのかも知れないと思ってしまう臆病さが、今までのつまらない生活を物語り、退学におびえるさまから、ハリーが魔法の世界に触れて、どれだけ楽しいと感じているかがうかがえる。はじめてのクリスマスを迎えたときに、プロローグの一般家庭で暮らしていたハリーのことを思い出すと、その変化にこっちまで胸が熱くなってくる。

 ファンタジーの欠点は、世界観が膨大すぎて説明しきれないところだ。
 この一冊には、一年の出来事が書かれている。
 プロローグの一般世界から魔法界に移るところ。学校内の雰囲気を説明するところ。クィディッチという球技の試合について。スネイプを疑うところから入り、ヴォルデモートに迫る終盤。そして、寮ごとの表彰式というラスト―。

 これでもかというほどに詰め込まれた設定。説明が充分でないことから、どうしても矛盾点に目がいく。そもそも、魔法という、「都合のいいもの」が作中に出てきてしまう時点で、いやいや、そこで死ぬわけないだろう、とか。いやいや、子供に突破できる罠ていどなのに、世界一安全な隠し場所って言えるの、とか。たぶん、いちいち突っ込んでいたらキリがない。なので、物事を白黒はっきりさせなければ気が済まない人や、神経質な人は、絶対に楽しめない物語であろうな、と思う。

 この本の魅力は、作者がいきいきと楽しんで書いたのだろうということが伝わってくるところだ。ハリーが最初に買い物をする、ダイアゴン横町では、「未知の世界に出会う喜び」がありありと描かれている。絵ではない。文だ。それなのに絵よりもはっきりと、頭の中で想像できる世界がある―。

 これぞファンタジーの醍醐味だろう。

 創作物はこうでなくちゃね。
 続きが、楽しみだ!








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ハッピーエンド至上主義者。
過程がどれほど素晴らしかろうとも、バッドエンドで評価が一転します。


★の数は、その本の価値と同一ではありません。
たいてい、難解な哲学を含むものは、星の数が少ないです。

あなたが本を手に取るきっかけに、人の意見が知りたい人にとっての参考に、このブログが役立ってくれますように。

PN:伊吹かなめ
傾向:世界観、キャラクター、読みやすさ、印象の強さ、独創性、個性などを重視します。エンターテイメント性に富んだものを好みます。俗っぽいものに抵抗あり。



文字、紙、本に溺愛。作家さん、編集者さん、そして出版関係の皆様に感謝と敬意をここに記します。本を生み出してくれて、ありがとう。
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