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ランドリー Laundry <森淳一>




総合評価     ★★★★★

ストーリー    ★★★☆☆
表現/世界観    ★★★★★
キャラ       ★★★☆☆

映画化 ○
ハッピーエンド ○




内容(amazonより抜粋)

 僕の名前はテル。本当は照夫だけどみんな「テル」って呼ぶ。僕はコインランドリーで働いている。洗濯物が盗まれないように見張っている仕事だ…。優しくて、あったかくて、切ない、心にしみ入る物語。同名映画の原作本。




感想

 最初に観たのは映画だった。窪塚洋介と小雪が演じる、テルと水絵の物語。

 この映画に対して持った第一印象は「地味」。急展開やどんでん返しは一切ない。刺激的な要素は何一つとしてない。ものすごくピュアなプラトニックラブストーリー。

 窪塚洋介は、池袋ウェストゲートパークのキングという役を演じていたところから、私にとって攻撃的な若者といった印象がとっても強い。けれど、この作品の主人公「テル」は、無知でおつむが弱い。窪塚洋介の印象とは真逆なのだが…、この難しい役を見事にこなしている。それだけでも必見と言える。一方、ヒロインの「水絵」は、おつむは人並みだけれど、心に少し傷を負っている。儚い、という言葉がしっくりくるような役は、小雪にぴったりだった。作中では、二人ともとても地味な服を着ている。それがこの映画の世界観の一部となって、モチーフの「ランドリー」や「ガスタンク」や「水たまり」、そして「ハト」なんかを引き立てている。

 「空気感」という言葉で想像できる小説は、
・ノルウェイの森
・西の魔女が死んだ
・たんぽぽ娘
 このあたりなのだが、これら3作品と比べても、ランドリーから得られる感動の質は、抜きん出ている。三作品に共通するのは、「静かな感動」と「情景描写の多さ」なのだが、ランドリーと一番近いものをあげるなら、「たんぽぽ娘」であると思う。SFロマンスに対し、現代ロマンスというか。一言で表せば「恋愛のはなし」なのだが、それだけではない。 読み終わると、じんわりとした気持ちになる。

 
 小説では、映画にはないストーリーも組み込まれている。テルサイド、水絵サイドで語り部が交代するが、その文面からも二人の性格がきっちりと表れていて、文字を追うのが楽しい。

 映画を見ると必ずといっていいほど泣いてしまうので、ランドリーの綺麗な世界観に手軽に触れたいときに小説を読む。映画では二人の表情から感情移入してしまって苦しくなるのだけれど、小説を読んでいる分にはそんなことはない。 テルが水絵にワンピースを手渡すシーンは、何度読み返しても、心が洗われる。澱んでしまった色々なものが、浄化される。 終わり方がとても綺麗なので、読み終わった後にわだかまりが残ることもない。スッキリ出来る。

 この本だけは一生、何があっても手放さないと思う。
 好きな小説はたくさんあるが、「自分の中で絶対に廃れることはない」と断言できる小説は、この「Laundry」だけかも知れない。





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主に小説の感想を載せています。

ハッピーエンド至上主義者。
過程がどれほど素晴らしかろうとも、バッドエンドで評価が一転します。


★の数は、その本の価値と同一ではありません。
たいてい、難解な哲学を含むものは、星の数が少ないです。

あなたが本を手に取るきっかけに、人の意見が知りたい人にとっての参考に、このブログが役立ってくれますように。

PN:伊吹かなめ
傾向:世界観、キャラクター、読みやすさ、印象の強さ、独創性、個性などを重視します。エンターテイメント性に富んだものを好みます。俗っぽいものに抵抗あり。



文字、紙、本に溺愛。作家さん、編集者さん、そして出版関係の皆様に感謝と敬意をここに記します。本を生み出してくれて、ありがとう。
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