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月の影 影の海(上) 十二国記 <小野不由美>




総合評価     ★★★★★

ストーリー    ★★★★★
表現/世界観    ★★★★★
キャラ       ★★☆☆☆

映画化 × アニメ化されている
ハッピーエンド ○



内容(amazonより抜粋)

「あなたは私の主、お迎えにまいりました」学校に、ケイキと名のる男が突然、現われて、陽子を連れ去った。海に映る月の光をくぐりぬけ、辿りついたところは、地図にない国。そして、ここで陽子を待ちうけていたのは、のどかな風景とは裏腹に、闇から躍りでる異形の獣たちとの戦いだった。「なぜ、あたしをここへ連れてきたの?」陽子を異界へ喚んだのは誰なのか?帰るあてもない陽子の孤独な旅が、いま始まる。




感想

 下巻まで一気に読み終えてしまって、ただいまものすごく興奮状態にある。
 とにかく面白くて、目が離せなかった。ただ、とてつもなく面白くなるのは下巻から。
 下巻は最初のページを開いてから、右手にもっているページの束と左手に持っているページの束が同じになるくらい(つまり中盤)まで、読む勢いを失わなかった。我に返ったとき、いつの間にかそこまで進んでいた。

 上巻に限っては、そこまでではない。
 なにせファンタジーなので、異世界に入ってからは、主人公同様、読み手のこちらも手探りだ。ゲームなどと同様、「ハマる」のには時間がかかる。

 この作品はが、刊行されたのは1992年とのこと(!)
 ――――――なんと20年も前!!

 読み終わってからそれを知って、納得する部分がある。
 序盤は、主人公の陽子が現世界で暮らしているところからはじまり、わけもわからず異世界に飛ばされる過程が語られている。その、現世界の暮らしは、私たちが想像できる範囲の一般家庭の様子なのだが、しょうしょう、男尊女卑や、古くさいいじめの表現などがある。
 2012年の今に読むと、すこし違和感がある。

 とはいえ、20年経とうが高校生の暮らしぶりに大差ない。安全圏であんのんと生活していた子供が、異世界に飛ばされて命からがらサバイバルすることになる展開で、その環境の落差に、ひきこまれる。

 日本での暮らしで、優等生の地位を守ってきて、目立つ行動はしてこなかった陽子。周りの人間に合わせ、善良につとめてきた。きっと多くの人が陽子と同じように暮らしているのだと思う。それに、疑問をもっていても、そうするしかない。日本で生きていくためには、それが当然なのだから。
 人と生きていくためには、裏切りや殺人や、仲違いにつながることは禁止されている。法律でも禁止されているし、人と違った行動を起こせば、迫害される。
 そういうルールが染みついてきた高校生が、そのルールがまったく効かない異世界に放り出される。
 生きていくためにどうするべきか、人に裏切られるごとに学び、ルールから解き放たれていき、まるで野生にかえるかのように変貌していく陽子が、すごく気持ちいい。

 序盤の頼りない陽子から、終盤の研ぎ澄まされた陽子に、だんだんと変わっていくその様子が、一冊の本で描かれている。これが、「十二国記 月の影 影の海」の上巻である。



 「月の影 影の海 十二国記 下巻」に続く。






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ハッピーエンド至上主義者。
過程がどれほど素晴らしかろうとも、バッドエンドで評価が一転します。


★の数は、その本の価値と同一ではありません。
たいてい、難解な哲学を含むものは、星の数が少ないです。

あなたが本を手に取るきっかけに、人の意見が知りたい人にとっての参考に、このブログが役立ってくれますように。

PN:伊吹かなめ
傾向:世界観、キャラクター、読みやすさ、印象の強さ、独創性、個性などを重視します。エンターテイメント性に富んだものを好みます。俗っぽいものに抵抗あり。



文字、紙、本に溺愛。作家さん、編集者さん、そして出版関係の皆様に感謝と敬意をここに記します。本を生み出してくれて、ありがとう。
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