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しゃばけ <畠中恵>




総合評価     ★★★☆☆

ストーリー    ★☆☆☆☆
表現/世界観    ★★★★☆
キャラ       ★★★☆☆

映画化 × ラジオで音声化、テレビで映像化されている
ハッピーエンド ○



内容(amazonより抜粋)

江戸有数の薬種問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く外出もままならない。ところが目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。以来、猟奇的殺人事件が続き、一太郎は家族同様の妖怪と解決に乗り出すことに。若だんなの周囲は、なぜか犬神、白沢、鳴家など妖怪だらけなのだ。その矢先、犯人の刃が一太郎を襲う…。愉快で不思議な大江戸人情推理帖。日本ファンタジーノベル大賞優秀賞。




感想

 物珍しく感じた。江戸を舞台にした物語は今までほとんど読んだことがない。歴史物は難しくてほとんど手に取らなかった。
 昔、武田信玄の小説を読んだことがあるが、面白いのは可愛い女の子が出てくる場面くらいなものだった。戦争、戦略、知恵、だましあいすかしあいなどに興味がない私である。

 そういった本に比べて、この「しゃばけ」はいくぶんも読みやすい。
 素晴らしいと思うのが、表現力。江戸の世界観を損なわない巧みな文章。読んでいてほっとする。
 比喩ですら、その世界にあるもののみを使う。当たり前なのだけど、それを当たり前に使うのはきっと難しいはず。目新しい言葉を見つける度に、感心してしまう。

 ただ…、思春期からライトノベルに慣れ親しんできた私には、この本の「転」や「結」が、物足りなかった。
 妖という架空の生き物が出てくる以上、かっこういい能力の一つでも持っていて欲しいと期待していたのだが、主人公に仕えている妖二人がなんとも、情けなくて。存在感がほとんど無いように感じた。キまっているシーンがないのだ。「人と違う生き物」とわざわざ強調しているのにもかかわらず、人との差を感じられる場面がないのだ。家に住んでいる、「屏風のぞき」や「鳴家」より格上らしいということは端々でわかるが、ただそれだけ。

 主人公も身体が弱いため、なんとも、至る所でかっこうわるい。千両役者になれそうなほどの色男という設定らしいが、どう頑張ってもそういった印象を持てない。私としては、強ければ、見た目が優男であろうとも、格好いいに結びつくと思うわけですけれど。例えば、「サムライチャンプルーのジン」のような。(小説ブログなのにアニメを引き合いに出して申し訳ない)

 なので、キャラクターの魅力が残念であるとともに、自然であるという感想を持った。
 妖という人間とは別種の生き物がいる世界ということ。それらは人と共存しており、世の中に来す影響は多くはないということ。

 江戸で妖と一緒に暮らす若旦那が殺人事件を推理する。という、あらすじを読めば、「わくわくさせてくれそう!」な本なのに、まったくわくわくしないという不思議な小説でした。

 そして物語のかなめとなる、「転」の部分。
 事件が起こった理由が明らかになるところと、犯人が求めているものの正体も、意外性がなく、正直に言って、つまらなかった。
 私は物語を読むときに、先を予想して読むことをしない。物語を楽しむにはもってこいの性格をしているのだが、それでもこの胸が躍ることはなかった。きっと多くの人にとっても、「そういうことか!」という推理小説を読む際のよろこびを感じることはないと思う。

 主人公の若旦那。そしてその幼なじみの栄吉。家柄に縛られる二人の若者の憂鬱。上手く事が運んでいかないはがゆさ。そういったところの対比を読者がどう捉えるかだとか。若旦那が一連の事件を通して、自分の出生の秘密を知り、その影響を考え行動に出る心の動きだとか。成長だとか。そんなところに目を向けて、うんうんと考察する楽しみ方が多分、この話には練り込まれていると思う。

 ただ。個人的な見解として、家柄に縛られているだとか、家業を継がなければならないとか、そういう状況を想像できないために、そっち方面の楽しみ方が出来なかった。自分の子供に甘すぎる親というのも、自分の能力が追いつかないから家業を継げそうにない情けなさというのも。まったく想像が出来ない。

 もしかしたら、もっと年を取ってから読めば、違った見方が出来るのかも知れないと静かに思う。今はそれ以上の感想が出てこない。

 と、感想だけみれば評価がどん底に低いように感じさせてしまうであろうが、★は三つつけた。際だった面白さはないけど、安心は出来る。度肝を抜かれる展開はないけど、感心は出来る。そんな魅力があるからだ。読み終わりに、モヤついた気持ちが残ることもない。そういった感じ。

 ふう。
 無難な物語を読んだせいか、「撲殺天使ドクロちゃん」という奇天烈なライトノベルが無性に読みたくなった。





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ハッピーエンド至上主義者。
過程がどれほど素晴らしかろうとも、バッドエンドで評価が一転します。


★の数は、その本の価値と同一ではありません。
たいてい、難解な哲学を含むものは、星の数が少ないです。

あなたが本を手に取るきっかけに、人の意見が知りたい人にとっての参考に、このブログが役立ってくれますように。

PN:伊吹かなめ
傾向:世界観、キャラクター、読みやすさ、印象の強さ、独創性、個性などを重視します。エンターテイメント性に富んだものを好みます。俗っぽいものに抵抗あり。



文字、紙、本に溺愛。作家さん、編集者さん、そして出版関係の皆様に感謝と敬意をここに記します。本を生み出してくれて、ありがとう。
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