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水底から君を呼ぶ <大石圭>

 不本意ながら先月末でネット回線を解約した。
 しばらく更新していなかったが、これからは携帯から記事を上げていきます。

 Amazonのリンクは貼れませんが、気になる本があれば検索してみて下さい。

<あらすじ>
 真夜中のプールに忍び込み戯れる四人の美女。ふと気付くと、一人が忽然と姿を消していた!水面に浮かぶ大輪の白い花……。そして、残りの三人にも何者かの魔手が忍び寄る。二人めはニューカレドニアの海でダイビング中に消えて―――。新妻を喪った男が知った、女たちが共有する冥く忌まわしい秘密とは?
 人の心の奥底に巣くう深い闇と切ない愛を描く、戦慄の物語。

<評価> 総合 ★★★★☆
世界観 ★★★★☆
ストーリー ★★★★☆
キャラクター ★★☆☆☆

<感想>
 美しい。

 フィリピンやニューカレドニアなどの常夏の楽園を舞台にしていて、主人公は海に潜るダイビングが趣味である。
 海に行ったことが殆どない私でも、何故か想像出来てしまう景色や雰囲気や世界観が、大石圭さんの巧みな文章を通して淀みなく伝わってくる。
 綺麗な海に潜った時の感動や、はいた息が気泡になってぶくぶくと海面へ浮上していく様や、色とりどりの魚や海草や珊瑚が、まるですぐそこにあるかのように。
 文字を読んでいるだけなのに、まるで本当に旅行をしているかように、なんだかわくわくしてくる。

 物語は、主人公と、とある女性で視点が入れ替わりながら進んでいく。

 まずは主人公サイドで起きる事件の不可解さと、南国の世界観に夢中になる。
 それから、徐々に明るみになる、ある女性の人生が悲壮すぎて切なくなる。
 段々と二つの視点が混じりあい、真相が見えてきて、人間の醜さと、反対の美しさに胸を打たれる。
 そして少し無理矢理だが、ラストの粋な演出で物語がしまる。

 大石圭さんの本は何冊か読んだが、こんなに綺麗な内容のものは、たぶんこの話だけだろう。
 アンダーユアベッドという小説もかなり好きだが(主人公はアロワナなどの高級魚を売る地味な男性)、割りと軽めの内容なそれと比べてもこの話は群を抜いて明るい。

 なぜならば、大石圭さんの書く小説に出てくる女性は大抵ひどい。
 なにが酷いかというと、扱われかたがほぼ奴隷といった感じ。
 読者の女性が思わず男を嫌いになりかけるくらい、小説の女を徹底的に拷問にかけている。

 この話も例外ではない。
 ただ、他の本と違うのは、確かに酷い扱われかたはするが、それが過去だということ。
 なので、読者としては気が楽なほうと私は評価する。

 物語としては、意外性はないし、際立って面白い見所もない。
 ただ、何回も読みたくなる中毒性があって、ホラーなのに何故か癒され、心が落ち着くような物語なのだ。

 多分それは、海、深い青、美しい空、南国にしか咲かない花などが想像させる色彩がもたらす効果だと思う。

 この本は私の本棚から生涯出ていくことはないだろう傑作。
 是非皆様にもおすすめしたい。
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PN:伊吹かなめ
傾向:世界観、キャラクター、読みやすさ、印象の強さ、独創性、個性などを重視します。エンターテイメント性に富んだものを好みます。俗っぽいものに抵抗あり。



文字、紙、本に溺愛。作家さん、編集者さん、そして出版関係の皆様に感謝と敬意をここに記します。本を生み出してくれて、ありがとう。
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