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絶歌

誰しも死を意識する時期はある。
どんなに明るい人生でも、生きている限り、死は付いて回る。

その中でも、一定数以上はいるはずだ。
死に興味を持つ者は。

もし、死に興味があるなら、
この本は読んで損はないと思う。
理解の助けになる内容が含まれているから。

しかし、そういうカビ臭い、陰の世界と無縁な者なら、読んで得るものは多分なにもない。

そういった事は、経験しないで済むなら、その方が良いのだ。
そして、関わる必要もない。

取捨選択は、自分次第だ。

手記、つまりノンフィクションのはずの話だけど、あまりに内容が異常であるため、素直に受け入れるのは難しい類の経験談。

作者自体が倒錯していて、酔っている印象を強く受ける文章だから、どこか作り話を混ぜたり創作している部分がありそうだとわたしは疑ってしまった。

でも多分ほぼ事実なんだろうな。
なんとなく勘でそう感じた。

しかし、少年Aが少年院をでて、社会復帰をした後の話は、現実的で、とても確かな、人生が綴られていた。

そして、きっと、どこか世界に拒絶されていると感じる者、他人と上手くやれない者にとっては、救われるような共感の言葉が載っている。

「世の中はコミニケーションの戦場で、コミニケーションが出来ない者は生きていく価値もない」

私はその言葉を見た瞬間に力が抜けた。
その通りだと感じた。

殺人を犯した彼は、自分の事を怪物だとかモンスターだとか書いていた。
私は、彼について誰かの意見を見た事もないし、特集やニュースにも全く興味がない。
大衆を意識した、金の匂いがする言葉なんて耳に入れたくもない。
でもきっと多くの人は、彼を異常者だと言い、人でなしだと言い、同じ人間なのだろうか?と言うのかもしれない。

でも私は、生きた人間の文章を読んだな、と思った。
読み終わって、これこそが心を持った人間の言葉だと思った。
血の通った、醜く、矮小で、狡く、痛々しい。
彼の心は生きている。


彼も書いていた。
母親がいけない、愛情不足で、とメディアは騒いだがそんな事は全くないと。
手記を読む限り、母親に問題があったとは思えないが、この辺は意図的に伏せられているのか?
何かが隠されていたとしても、虐待があったわけでもなく、身内が殺されたわけでもなく、生活を脅かされる程の不幸があったとも思えない。

きっと、そういう事は何もなく、ただ単にそれが出来てしまえる環境だったということ…。

愛されている人ほど、その価値がわからないものだ。
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ハッピーエンド至上主義者。
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たいてい、難解な哲学を含むものは、星の数が少ないです。

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PN:伊吹かなめ
傾向:世界観、キャラクター、読みやすさ、印象の強さ、独創性、個性などを重視します。エンターテイメント性に富んだものを好みます。俗っぽいものに抵抗あり。



文字、紙、本に溺愛。作家さん、編集者さん、そして出版関係の皆様に感謝と敬意をここに記します。本を生み出してくれて、ありがとう。
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