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ハリー・ポッターと賢者の石 <J・K・ローリング(著) 松岡佑子(訳)>




総合評価     ★★★★★

ストーリー    ★★★☆☆
表現/世界観    ★★★★★
キャラ       ★★★☆☆

映画化 ○
ハッピーエンド ○



内容(amazonより抜粋)

緑の眼に黒い髪、そして額に稲妻型の傷を持つ、魔法学校1年生のハリー・ポッターが、邪悪な力との運命の対決に打ち勝って行く、夢と冒険、友情の物語。スマーティーズ賞ほか受賞作。99年刊の携帯版。




感想

 素 晴 ら し い。
 私はファンタジーが好きだ。特に、ティム・バートン監督の映画がどストライクである。胸がわくわくするような雰囲気に魅了される。それらの共通点をあげるのは骨が折れるので、ここでは触れない。

 けれど、昔はそういうものが大嫌いだった。なぜならば、子供だましにキャーキャー喜んでいられるような、健康な人間じゃなかったから。とにかく、陰鬱な表現を好み、人とは違うものを選び、下手すれば心配されてしまうぐらいグロテスクな物語やモチーフばかり追った。そうする必要があったから。

 中学生の時に、友達からハリー・ポッターを借りたとき、冒頭の何ページかを読んでから心の中でつばを吐いた。魅力的な単語が一切載っていなかったからだ。このときの私が好んだ物語は、「バトル・ロワイアル」や「ダブル・ブリッド」や「キノの旅」や「黒乙一」などなど…。とにかく残酷なものにしか興味が無かった。そういう精神状態だった。

 人はそのときの精神状態によって、絶対に受け付けない物語が存在する。

 ファンタジーとホラーは対極の位置に存在すると思う。

 私は、ファンタジーを受け付けない状態から、ファンタジーも楽しめる状態に変わった。なので、思わず目を背けてしまうようなホラーも、胸わき踊るようなファンタジーも大好きなのである。

 そんな性質の私は、ティム・バートンが大好きで当然なのである。あれはホラー+ファンタジー。二つが組み合わさった、まさしく私のためにあるようなジャンルだからだ。

 という話はおいておいて――。

 ハリー・ポッターに、私の好む「ホラー」な要素はまったくない。映画を見たことがある人も多いと思うのでいうまでもないのだが―。
 著者がイギリス人ということもあって、物語はイギリスの一般家庭から始まる。想像にたやすい親馬鹿な両親。そのもとで甘やかされて育った、ふとっちょの子供。その家に引き取られた主人公は、おばさんとおじさんと従兄弟のもとで肩身の狭い思いをしながら生活する。当然、やせっぽっち。そう、かわいがられるのは実の子ばかりで、当然のようにいじめられる―。
 十一歳になったとき、見知らぬお迎えが来て、告げられる。
「おまえさんは、魔法使いだ。しかも、そんじょそこらの魔法使いよりもよっぽどすごい魔法使いさ」と。
 生まれたときから決まっていた魔法学校に入学することになり、今まで見たこともないような世界へ足を踏み入れる。そこから、今までの暮らしが嘘だったかのような、色鮮やかな生活へ一転するのだ。
 みじめな生活から抜け出せるハリーの期待感、もしかしたら夢だったのかも知れないと思ってしまう臆病さが、今までのつまらない生活を物語り、退学におびえるさまから、ハリーが魔法の世界に触れて、どれだけ楽しいと感じているかがうかがえる。はじめてのクリスマスを迎えたときに、プロローグの一般家庭で暮らしていたハリーのことを思い出すと、その変化にこっちまで胸が熱くなってくる。

 ファンタジーの欠点は、世界観が膨大すぎて説明しきれないところだ。
 この一冊には、一年の出来事が書かれている。
 プロローグの一般世界から魔法界に移るところ。学校内の雰囲気を説明するところ。クィディッチという球技の試合について。スネイプを疑うところから入り、ヴォルデモートに迫る終盤。そして、寮ごとの表彰式というラスト―。

 これでもかというほどに詰め込まれた設定。説明が充分でないことから、どうしても矛盾点に目がいく。そもそも、魔法という、「都合のいいもの」が作中に出てきてしまう時点で、いやいや、そこで死ぬわけないだろう、とか。いやいや、子供に突破できる罠ていどなのに、世界一安全な隠し場所って言えるの、とか。たぶん、いちいち突っ込んでいたらキリがない。なので、物事を白黒はっきりさせなければ気が済まない人や、神経質な人は、絶対に楽しめない物語であろうな、と思う。

 この本の魅力は、作者がいきいきと楽しんで書いたのだろうということが伝わってくるところだ。ハリーが最初に買い物をする、ダイアゴン横町では、「未知の世界に出会う喜び」がありありと描かれている。絵ではない。文だ。それなのに絵よりもはっきりと、頭の中で想像できる世界がある―。

 これぞファンタジーの醍醐味だろう。

 創作物はこうでなくちゃね。
 続きが、楽しみだ!








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主に小説の感想を載せています。

ハッピーエンド至上主義者。
過程がどれほど素晴らしかろうとも、バッドエンドで評価が一転します。


★の数は、その本の価値と同一ではありません。
たいてい、難解な哲学を含むものは、星の数が少ないです。

あなたが本を手に取るきっかけに、人の意見が知りたい人にとっての参考に、このブログが役立ってくれますように。

PN:伊吹かなめ
傾向:世界観、キャラクター、読みやすさ、印象の強さ、独創性、個性などを重視します。エンターテイメント性に富んだものを好みます。俗っぽいものに抵抗あり。



文字、紙、本に溺愛。作家さん、編集者さん、そして出版関係の皆様に感謝と敬意をここに記します。本を生み出してくれて、ありがとう。
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